田舎暮らしの特権!? 大きな音が出せるから、ヴィンテージオーディオとレコード鑑賞に大ハマり

田舎で暮らしていてよかったなと思うことはたくさんありますが、その一つに「音をあまり気にしなくて良い」という点があります。もちろん田舎といっても隣家との距離はさまざまですし、あまりに常識はずれな騒音はどんな環境であれ論外です。ただ、都会で暮らしていた頃と比べて、その手のストレスが大幅に軽減されたことは間違いありません。

特に我が家のように小さな子どもがいる家庭では、騒音を出さないというのはほとんど無理な話で、夜中に泣き叫ぶこともしょっちゅう、普通に遊んでいても大人より騒がしいものです。そんな幼子を抱えた生活において、音を気にしなくて良いというのは非常に気持ちが楽です。また、逆に言えば「周りの音も気にならない」ということでもありますので、「音」にまつわるお悩みを抱えている方は田舎への移住によって解決できるかもしれません。ここは本当に静かです。

さて、そんな環境の中でムクムクと目覚めてしまったものがあります。それが「趣味のオーディオ熱」です。私はかつて音響関係の仕事に就いており、もっと若かりし頃はミュージシャンを目指していた音楽小僧でもあります。そんな昔々にハマっていたオーディオに今また大ハマりしています。だって!! ここなら!! 大きな音が出せるから…!!

ということで今回は少し趣向を変えてオーディオの話を書いてみようと思います。少々マニアックな話になりますので、興味のない方はスルーしてください。

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目指すのは70年代の音。オーディオブーム全盛期の機器でレコードを聴きたい

趣味のオーディオと一口に言っても、それが意味するものはとても幅広く、目指す方向性も人によってさまざまです。解像度の高い現代的な音を目指すのか、しっとりとした伸びやかな音を目指すのか、はたまたジャズ喫茶のようなカラッとした爆音を目指すのか、100人いれば100通りの趣味嗜好があり、またひとつとして正解のない、それこそ「沼」にも例えられるような奥の深い世界です。

そんな答えのない世界で自分がどんな音を目指すのかを考える時に、ひとつの指標になるのが「普段どんな音楽を聴いているか」です。私はというと、フォークやジャズ、80年代ぐらいのロック、ルーツロックレゲエなど、60~80年代の音楽を聴くことが多いです。もちろん新しい音楽も聴きますが、どちらかというと古いものの中から好きな音楽を探し当てる(ヒップホップ世代の我々はこれを「ディグる」といいます)のが好きです。

そして! 最近知ってしまったのです。もう一つの深い深い沼、「レコード」の魅力を。

うちの納戸には、父親から譲り受けた古いレコードがダンボール一箱ぐらいあります。といっても特に音楽が大好き、という親でもないので、ユーミンやオフコース、井上陽水、洋楽ならカーペンターズとかサイモン&ガーファンクルみたいな、当時誰もが聴いていたんだろうなというような、そんな感じのラインナップです。20代の頃、DJに憧れてターンテーブルを二つ並べてイキっていた私に、父が「俺の古いレコードでも聴いてみるか?」といって、どこかからゴソゴソ出してきたものです。特にすごく思い入れがあるわけでもなければ、聴く機会もないけれどなんとなく捨てられずとってありました。

ある日、そんな中から1枚を取り出して何気なく聴いてみました。別に深い理由もなく、久しぶりにレコードでも聴いてみるかな、あーなんかこれジャケットかっこいいな、そんな程度で。選んだのは井上陽水の「二色の独楽」というアルバムです。そうしたらですね、もう天才なんですよ。井上陽水が。20代のDJもどきの小僧にはまったくピンとこなかった陽水が、沁みること沁みること。1曲目の「傘がない」からヤラレっぱなしなわけです。なんでこの素晴らしさに気が付かなかったんだろう。若さというのは、やはり色々なものを取りこぼしながら走っているんだなぁ。

で、ですね。そうなるともっといい音で聴きたくなるのが人というもの。今あるレコードプレーヤーも別に不満があるわけではありません。SONYのPS-LX310BTという現行モデルで、シンプルなデザインがとても気に入って購入したものですし、Bluetoothで接続できたり、PHONOイコライザーなんていうややこしいものも繋がなくていい、PCとUSBで繋げば録音までできてしまう、令和の生活にマッチしたとてもいいプレーヤーです。音もいい。

でも。古くてホコリっぽいジャケットから慎重にレコードを取り出して、プレーヤーの上において針を乗せて、っていう一連の所作の中に、この真新しいプレーヤーがどうしても馴染まない。どうせ古い家に住んで古い音楽を聴いているのなら、それを聴くための機材も同じ年代のものがいい! そうに決まってる! そう思ってしまったわけです。こうして再び楽しいオーディオライフが幕を開けました。

別荘族たちが遺した、神々の遺産を求めて聖地ハードオフへ

古いオーディオを探すなら、まずはハードオフです。この企業が存在することで、どれだけのモノたちが救われてきたことでしょう。活躍の場を失い、捨てられるのを待つだけだったモノたちが、新しいオーナーの手に渡り、新天地でかつての輝きを取り戻していく。神々しささえ感じる、まさに聖地です。

私の住んでいる地域にはバブルの頃に建てられた別荘がたくさんあり、いわゆる別荘族と呼ばれるゆとりのある先輩方がたくさんおられます。この方々が若い頃にハマったもの、そして別荘で使いたいものといえば、そう!オーディオです! そういった恵まれた土壌もあってか、近所のハードオフには、こんな良いものがなぜここに!? という掘り出し物が無造作に置いてあることがよくあります。それを私は「神々の遺産」と呼んでいます。そんなお宝を求めて、いざハードオフへ。

狙いはオールドJBLのスピーカー、アンプはSANSUI(サンスイ)かLUXMAN(ラックスマン)で揃えたい。どれも若い頃は高くて買えなかった憧れの機材たち。そして、レコードプレーヤーはTechnics(テクニクス)の初代SL-1200一択と決めています。SL-1200は堅牢性、デザイン、信頼性において並ぶものがないプレーヤーだと思います。そしてDJの世界標準であるSL-1200シリーズ(2010年に生産終了したもののユーザーからの熱い声により復活、現在の最新版はSL-1200MK7)の原点であるという点も、所有欲を満たすのに十分な理由です。もちろんオーディオマニアの方に言わせれば別の意見があると思いますが、ここは趣味の世界。私にとってはこれ以上のプレーヤーはありません。

そんな宝探しのような気分で店内を物色していると、ありました。まずはJBLのスピーカー! しかし…た、高い。当たり前のように10万オーバーです。そういう世界なのは百も承知ですが、実際に購入となると、「はーい、10万ね。VISAで!」みたいなノリで買えるほど裕福ではありません。古い=安いではなく、古いからこそ高い、というフェーズに入ってきているんですね。いわゆるヴィンテージです。よし、JBLはあきらめよう!

さて、次はアンプコーナーです。ここはもうお宝がザクザク。あの頃は手が届かなかった往年の名機たちがラップに包まれて鎮座しています。その姿はさながら百戦錬磨の老兵のようで「いつでもいける準備はできている、しかし君に私が使いこなせるかな?」という迫力を感じます。こういうオーラは最近の電化製品にはないですよね(私はいったい何を言っているんだろう)。

その中からラックスマンに狙いを絞ります。木のケースに入った高級感のあるデザインに昔から憧れていたし、そろそろこういう機材を持ってもサマになる年頃だろう。そして何より「ラックストーン」と呼ばれる煌びやかな音を出すらしく、それを我が家で聴いてみたい。できれば真空管アンプがいいんだろうけど、ちょっと手に負えそうにないので(価格も桁が一つ違う)、ここはもう直感で、状態が良さそうな「LUXMAN L-504」という機種を選びました。SQ-505という機種は聴いたことがあってその音が大好きだったのですが、それの後継機にあたるらしく、音の傾向も似ているとのことでした。

憧れのLUXMAN L-504が我が家へ。これまでどんな音楽を鳴らしてきたんだろう。これからも良い音を鳴らしてください。
ついでにジャンク品の棚から掘り起こしてきたレコードたち。状態は決してよくないけど全部100円。

残るはプレーヤーですが、これは欲しい機種が見つからなかったため撤収。久しぶりの聖地巡礼はワクワクが止まらない刺激的な時間でした。しばらく通い詰めそうだな…。

困った時のメルカリ!Victorの名品を入手

さて、レコードプレーヤーはとりあえずSONYのがあるので気長に探すとして、アンプに繋ぐスピーカーを探さねばなりません。70~80年代の機材で揃えるという縛りがあるため、対象は中古に絞られます。中古といえばそうか、メルカリがあるじゃん!

ということでさっそくメルカリでスピーカーを探します(ちなみにオーディオ類の出品数は圧倒的にヤフオクの方が多いのですが、入札という仕組みがどうも苦手で…メルカリ派です)。あれこれと検索していると、気になる機種を見つけました。その名もVictor SX-3。装飾を削ぎ落としたような四角い木の箱に、丸が3つというモダンなデザイン。今ではさほど珍しくないですが、この時代のスピーカーは、極端に家具調なものか、いかにも音響機器然とした無骨なものがほとんどなので、シンプルでミニマルなデザインが新鮮で心を惹かれるものがあります。

色々と調べていくと、非常に賛否あるスピーカーのようで、歴史に残る名機だと褒め称える人もいれば、まったく面白味のない平凡なスピーカーだとこき下ろす人もいます。しかしそれだけ話題にのぼるということそれ自体が、この機種が名品であることを証明しています。数多くのスピーカーが作られた時代において、50年の時を経てまだ話題にのぼるような機種がどれだけあるでしょうか。また、「デザイン」という点においては当時もかなりのインパクトがあったようで、それが広く受け入れられた要因ではないかとする声もありました。

そして、かの大瀧詠一氏の「ナイアガラムーン」というアルバムの裏ジャケにこのスピーカーが写っているそうです。私は音楽において氏を手放しで信頼しています。さっそく見てみると確かに載っている!「大瀧詠一が使っていたスピーカー」、この事実だけで購入するには十分な理由となりました。もともとそれほど高級機ではないため、値段も手頃だったのでさっそく購入。いい音で鳴ってくださいねー!

メルカリで入手した Victor SX-3(初代)。経年は感じさせるものの、比較的良い状態。さぁどんな音でしょうか。

余談ですが、このスピーカーは「ブックシェルフ型」というタイプに分類されます。ブックシェルフ=本棚にのせて使ってね♡ということらしいのですが、いや、でけーよ。後ろに写り込んだコンセントと比べてみてください。こんなでかいスピーカーが入る本棚があるって、どんな家よ!まぁそういう世界ということですね。

さぁこれでひとまず音が出せる環境は整いました。次回はアンプとスピーカーのレビューを書いてみます。それでは!

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この記事を書いた人

OUTSIDE JOURNALの中の人。2017年、生まれ育った名古屋を飛び出し、妻と猫と共に山梨県へ移住。その後2児に恵まれ、仕事に子育てに奮闘中の大黒柱。田舎暮らしにまつわるあれこれや、外遊び、キャンプ、庭造りなどについて発信中。本業はウェブサイトを作る人。

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