梅雨が始まり、雨の音が心地よく感じる季節になりました。この時期になると、我が家では毎年のように「梅しごと」が始まります。
といっても、はじめはそんな習慣があったわけではありません。
今回はそのきっかけと、今年の梅しごとがスタートした様子をお届けします。

森から転がってくる、ちいさな梅の実
わが家の隣には、昔ながらの雑木林のような小さな森があります。
その中に、いつ植えられたのかもわからない古い梅の木が一本、毎年この季節になると枝いっぱいに実をつけます。特別な手入れをしているわけでもなく、当然農薬もなし。
スーパーで見かける南高梅のような大きな実ではなく、直径2~3cmほどのビー玉ぐらいの小ぶりな梅の実が、ポトン、ポトンと庭に落ちてくるのです。

「これって、梅干しにできないかな?」
この暮らしを始めた当初は、ただ拾って遊んでいただけでした。けれどある年の梅雨の朝、ふと「これ、梅干しにしたらどうなるんだろう?」と思い立ちました。
ちょうど娘が3歳になる少し前でした。せっかく田舎で暮らしているのだから、身近な自然の恵みを活かして“食育”にできないだろうか?という気持ちもありました。
梅干しなんてまだ食べたこともなかった娘でしたが、一緒に梅を洗って、塩で漬けて、天日に干して……という工程を重ねていくうちに、すっかり「自分ごと」になったようでした。

初めての梅干しづくり。小さくても味は本格派
完成した梅干しは、小ぶりながらもしっかりとした味わい。市販の梅干しと違い、何が入っていて、どのくらいの塩分量なのかなどをすべて把握しているので安心です。少し塩が効き過ぎでしたが(汗)まぁそれはそれ。ごはんにもよく合いました。

なにより驚いたのが、それまで梅干しに全く関心がなかった娘が、「これ、わたしがつくったんだよ」と言って、毎日のように一粒ずつ食べるようになったこと。ただの保存食作りではなく、食への興味や感謝の気持ちを育てる、立派な“食育”の時間になったのです。
紫蘇ジュースや自家製ゆかりも!梅しごとはお得がいっぱい
梅干しを作る過程で必要になる赤紫蘇を使えば、鮮やかな色の紫蘇ジュースも作れます。

さらに、梅干しづくりで出る赤紫蘇の葉を乾かして刻めば、自家製の「ゆかりふりかけ」にもなります。
ひとつの素材から、いくつもの保存食が生まれる「梅しごと」。気がつけば、毎年の楽しみとして、家族の中にも定着していきました。
今年もはじまりました!2025年の梅しごと
今年も6月の声を聞くころから、梅の実がポロポロと落ちはじめました。今年は豊作のようで、朝の庭にはあちこちに梅の実が転がっています。

毎朝、娘と一緒に梅拾いをするのがこの季節のルーティンになりました。「今日はこんなに落ちてたよ!」「この梅、大きいね!」と、梅を通じて小さな発見や会話が生まれています。
田舎で育つ子どもだからこそ、自然とともにある暮らしを体験できることは、何よりの贈りものだなと感じます。
今年の初収穫、こんなにたくさん!

拾った梅は、状態を見ながら選別して、しばらく追熟させてから加工していきます。
次回は実際の梅干し作りの工程をお届けします。それでは!
