「田舎暮らしに憧れるけど、実際のところどうなの?」
そんな疑問を抱いている方に向けて、この記事では私が移住してからの8年間で「もっと早く知っておけばよかった」と感じたことを5つにまとめてお伝えします。
田舎暮らしのリアルな注意点を事前に知ることで、後悔のない移住につながるはずです。ぜひ参考にしてください。
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1. 何をするにも遠い
田舎では車がないと生活が成り立ちません。我が家の場合、スーパーは車で10分、コンビニは5分ほどと、割と近いほうですが、山越えのルートを含むため心理的にはかなり遠く感じます。最初は山道をドライブするのも気持ちよかったですが、今はただただ面倒なだけです笑
そのため買い物は週1回が基本。備蓄のために冷凍庫を追加購入しました。急に必要になったワイシャツを買うために、車で片道40分かけて市街地まで出かけたこともあります。

外食も気軽にはできません。チェーン店のあるエリアまでは車で30分。近くの個人店は観光客向けで高めの価格設定のため、普段使いにはあまり向きません(ただ、友人たちが遊びに来た時などには重宝します)。
また、公共交通の便は悪く、電車は1時間に1〜2本、バスは使い物になりません。移住当初は妻がペーパードライバーだったため、私が不在のときは外出すらできませんでした。さすがに不便だったので一念発起して一緒に運転の練習をし、今は割と自由に出かけられるようになりましたが、それに伴い車が2台体制になりました。
2. 生活コストはそれほど下がらない
「田舎に住めば生活費が安くなる」というイメージがありますが、実際はそうでもありません。
まず車の維持費が大きく、ガソリン代、保険料、車検代などが家計に重くのしかかります。スタッドレスも必須なので、うちのように一家で複数台が必要な場合、その負担はさらに大きくなります。
日用品や食料品も安くはありません。地域に競争が少ないため、スーパーの価格は都市部より割高。特売も少なく、都会のスーパーに行くとその安さに驚くこともあります。
さらに、うちは標高700mの高原地帯にあるため冬の暖房費がかさみます。灯油や電気代が都市部の倍近くかかることもあり、プロパンガスの料金も高額です。また、こういうものがあることすら知らなかったのですが、水道管の凍結防止用ヒーターが水道管に張り巡らされていて、5度以下になると常時稼働するため、この電気代が非常に高いです。
草刈り機や除雪道具、家庭菜園やDIYの資材など、田舎特有の備品購入もばかになりません。これは暮らし方にもよるので人それぞれではありますが、何をするにもけっこうお金がかかるなぁというのが率直な感想です。

野菜や果物など安く買えるものは確かにありますが、生活全体のコストは決して低くない——これが実際に暮らしてみて感じた現実です。
3. インフラが脆弱
我が家は別荘地にあるため、公営水道ではなく地域の共同井戸を利用しています。水が濁ったり水圧が安定しないこともあり、慣れるまでは不安でした。
停電も珍しくありません。台風や倒木で電線が切れたり、変電所に迷い込んだ動物が原因で長時間の停電が起きたこともあります。

テレビを見るにも一苦労。地デジの電波が届きにくく、多くの家庭がケーブルテレビを契約。導入に10万円以上かかり、月額はNHK含めて約5,000円です。我が家は導入を見送り、ネット配信のものだけを見ています。
医療面でも不安があります。専門科を受診するには複数の病院をはしごする必要があり、娘の小児科と皮膚科の通院で1時間以上かかることも。妻の出産時には、陣痛が始まってから1時間かけて産婦人科へ向かいました。ちょうど台風直撃の大雨の中だったこともあり、道中の緊張感は今も忘れられません。
また、近所で焚き火が延焼し庭が燃えたことがありました。その際は近所総出でバケツリレーや消火器で初期対応。消防車の到着には時間がかかりました。何とか火は消し止めたものの、怖い体験でした。
救急搬送も同様で、病院まで1時間かかることもあります。医療に対する“距離の壁”は、都市部と大きく異なるポイントです。
4. 人付き合いの難しさ
人口が少ない地域では、近所との距離が自然と近くなります。これは良いことも多いですが、悪い面もあります。
我が家は幸い良い人たちに恵まれましたが、近所でのトラブルの話も耳にします。狭い社会なので、一度関係がこじれるとやり直しがききにくい面も。
子育て世代の我々でいうと、子どもが少ない分、保護者同士の関係も濃く、移住者は「よそ者」として見られることもあります。地域に溶け込むには、自分から関わる努力が欠かせません。
また、地域によってはゴミ出しのルールが独特だったり、自治会の影響が強く、役所の指導より地域ルールが優先されることもあります。消防団や町内会など、参加が実質義務になっている活動もあり、そうした「地域の常識」に自分が合わせられるかも大切な判断基準です。
5. 野生動物の存在
田舎に移住して一番驚いたのは、想像以上に野生動物との距離が近いことでした。
家庭菜園を楽しみにしていたのに、鹿や猿の被害で野菜が育たず、何度も心が折れかけました。

これまでに遭遇、あるいは被害に遭った動物は、鹿、猿、猪、マムシ、スズメバチ、ヤマビル、マダニ、シロアリなど。近所では熊の目撃もありました。

こうした動物が身近にいるという現実は、都市生活にはない“緊張感”があります。特に子育て世帯では、安全への配慮が欠かせません。
まとめ:それでも後悔はしていません
ここまで読んで、「やっぱり田舎暮らしは大変そう」と思った方もいるかもしれません。でも私は、まったく後悔していません。むしろ移住して本当によかったと感じています。
たしかに不便なことは多いけれど、それ以上に得られるものもたくさんあります。
田舎暮らしは、何を重視するかで向き・不向きが分かれます。この記事が、これから移住を考える方の一助になれば嬉しいです。
